カラフルなフィギュアやキャラクターグッズ、バランスボールなどが置かれ、自由で遊び心が感じられるYellowfin Japanのオフィス。もともと証券会社が入居していたという空間の奥には、なんと当時使われていた金庫がそのまま残されている。リノベ物件ならではの魅力や実際に入居して感じる本音について、お話をうかがった。
Yellowfin Japanは、あらゆるデータを可視化するBI(Business Intelligence)ツール「Yellowfin」を提供する会社だ。ブラウザベースのため、PC・スマートフォン・タブレットなどあらゆる端末で使用でき、世界中で200万人以上のユーザーが活用している。
オーストラリアのメルボルンに本社がある同社は、事業拡大に伴い、2014年に日本支社を開設。ここ東京以外に大阪にも拠点を持ち、日本だけでなく、東アジア全体の市場を担っている。
オフィスからは自由な雰囲気が感じられるが、その空気感とは相反する重厚感のある金庫。聞けば、ITという業種柄クライアントの重要なデータを預かることも多いため、帰社時にパソコンを保管する場所として活躍しているという。
設立当初は、神保町のSOHO向けのマンションに入居していたという同社。マネージングディレクターの林勇吾さんは、このオフィスに移転した経緯を次のように話してくれた。
「当時は7人でスタートしたんですが、急激に人が増えて、打ち合わせスペースすらもつぶして、僕はそこで働いているような状況でした。オフィスには小洒落たロフトがあったんですが、そこがガラス張りで夏はとにかく暑くて……。このままでは仕事どころではないと思って、移転を決めました(笑)」
条件は、大きく手を入れずに使えることと、いわゆる日本的な普通のオフィスではないこと。働く人や訪れる人がワクワクするような空間はないだろうか、と探しているときに、この物件と出会った。
「実は、ここには内見に来る予定はなかったんです。でもせっかくだからと見にきたら、間仕切りもなく開放的な空間で、自由に使えそうだとイメージが湧きました。それから、何といっても、あの金庫が個人的に気に入って。最終的にはスタッフ全員で話し合って決めましたが、普通ではないポイントがあったのは、決め手のひとつになりましたね」
決め手のひとつになったという金庫は、スタッフだけでなく、訪問するクライアントからも好評価を得ているそう。
「“お預かりしているデータは頑丈な金庫でしっかり守っていますよ”というアピールにもなりますし、信頼感にもつながっているのではないか、と(笑)。ウチはふだんから来客者も多く、どうしてもミーティングスペースは必要なので、その部分だけは手を加えて新たにつくりました」
仕切られた窓際のスペース以外は、ほぼそのままの状態で使用しているが、働く空間は以前より広くなり、居心地もよくなった。とはいえ築年数の経っているビルのため、不便なところもちらほら。
「床にところどころ歪みがあって、カーペットを敷かないと椅子がスムーズに動かなかったり、トイレの配管がダメになったり。古いビルと付き合うには、やっぱりいろいろ大変な部分はありますね。でも、リノベ物件には、そういうデメリットを上回る魅力があると思っています」
「広さやアクセスなどが同じような条件で、デザイン性が高い新築物件となると、下手をすれば倍以上の賃料になってしまう。かといって、普通のオフィスでは満足できない。他とはちょっと違う何かを求める僕らのようなベンチャー企業には、リノベ物件はちょうどいいんです。最大の魅力は、価格とデザイン性のバランスのよさにあると思いますね」
現在、同社は隣にある「ザ・パークレックス 小網町第2ビル」の2階にも入居。製品説明会などのセミナーを頻繁に開催しているため、その会場用スペースとして使用している。
「そちらもデザイン性が高い空間で、気に入っていますね。いずれさらに人が増えて、ワークスペースが手狭になったときはリノベーションをして、ミーティングスペースをつくることも考えています」
刺激を与えてくれるクリエイティブな空間が、手の届きやすい価格で借りられるリノベ物件。デメリットとうまく付き合っていくという発想さえ持てれば、オフィスの可能性はもっと広がっていくのかもしれない。
このテナントが入居するビルの情報
Workspace as Living room (東京都中央区日本橋小網町)
Public in Office (東京都中央区日本橋小網町)