グレーを基調としたスタイリッシュなオフィスは、二面から光が差し込み、明るく開放的。エントランスを入るとまず目に飛び込んでくるのは、黄色のアイアンのフレームでつくられたキューブ状の空間だ。このスペースが、アイデアを生み出すのにとても役に立っているのだとか。キューブの秘密をはじめ、同オフィスの魅力についてお話を聞いてみた。
Designit Tokyo
業種:デザインコンサルティング
創立年:2013年(本社デンマークは1991年創立)
入居時期:2015年4月
社員数:14名(インターン生4名含む)
デンマークに本社を置き、世界13箇所に拠点を持つデザイン戦略ファーム「Designit」は、プロダクト・空間設計をはじめ、コミュニケーションデザインなど、デザインに関わるあらゆるものを手がける会社だ。東京オフィスには、現在インターン生を含めた従業員14名のほか、外国人ワーカーも在籍しており、オープンで自由な雰囲気が流れる。
オフィス内にある黄色のキューブには、ホワイトボードが差し込めるようになっていて、カラフルな付箋がずらり。さまざまなアイデアがここから生まれていることが窺える。また、オフィス奥のガラスの扉で仕切られたサンルームは、社内や来客者との打ち合わせだけでなく、海外拠点とのテレビ会議などにも使用されている。
取材に答えてくれたのは、同社のリードプロジェクトマネジャーである木幡康幸さん。このオフィスに入居することになった理由を、次のように語ってくれた。
「Designitの東京オフィスが立ち上がったのは2013年で、初めは原宿のマンションのレジンデンスエリアにあったんです。それから業務拡大に伴って従業員も増え、手狭になったことが移転のきっかけでした」
条件として重視していたのは、都心にありアクセスがよいこと。そして、ワークスペースと打ち合わせスペースが切り分けられるような広さのある空間を探していたという。
「我々は社内をはじめ、クライアントともワークショップ形式で手を動かしながら打ち合わせをすることが多いので、そうした空間をとれることは必須条件。大手の物件紹介サイトを探したり、不動産屋から直接紹介してもらったりして数件検討しましたが、条件にぴったり当てはまるのがここだけだったので、こちらに決めました」
黄色のフレームでつくられたキューブは、もちろん当初からあったわけではない。この空間にあわせて、マドリッドオフィスから来たスペイン人の建築デザイナーが考案したものだそう。
「空間を仕切りつつも、フレームなので圧迫感がないのがいいところ。ワークスペースにいる人たちにも声がかけやすく、自然とコラボレーションすることが増えて、効率も上がっていると思いますね」
このオフィスのポイントは、可変性が高いこと。いわゆる普通の日本のオフィスのように完成された感じはなく、気になったところがあれば自分たちで自由に変えていける。それが、Designitの社風にもあっているという。
「つい先日も、キューブのスペースの中にマットを敷いたんです。理由は、長時間議論することも多いので、くつろぎたいというのがひとつ。また靴を脱ぐという行為によってワークモードから思考の発散モードへ、意識を切り替えることにも一役買っています」
社員それぞれがこの空間を気に入って、“自分たちのオフィスだ”という意識が強まり、常によりよくしていこうという雰囲気が生まれた、と語る木幡さん。
次に案内してくれたのは、ワークスペースの階下にあり、大きなキッチンが配置された「Desingit Tokyo LAB」。クライアントとの打ち合わせやセミナーはもちろん、パーティー会場などにも利用されているスペースで、ここにもまた黄色のキューブが置かれている。
「2ヶ月に1回、メンバーの出身国の料理をつくるパーティーを開催するほか、忘年会のシーズンには、それぞれの家族なども呼んでみんなで盛り上がります。最近は、金曜日にシェフを招いて料理をつくってもらい、全員でランチミーティングすることも。キッチンがあることで生まれるコミュニケーションも多いですね」
黄色のキューブと自由につくっていくDIY感、そしてキッチン。思考と発散、オンとオフとを空間やデザインによってうまく機能させることで、クリエティブなものを生み出し続けている。
このテナントが入居するビルの情報
Workspace as Living room (東京都中央区日本橋小網町)